この折り紙のゾウは、紙ではなく「革」で折ることを前提にデザインされた作品です。折りに使う革は「漉き(すき)」と呼ばれる工程によって薄く加工されますが、どれだけ薄くしても、紙よりは厚みが残ります。
革を破らずに加工できる現実的な限界は、およそ0.5mm。一方、一般的に折り紙で使われる紙の厚みは約0.07〜0.1mmほどです。単純に比べると、革は紙の約5倍の厚さがあることになります。
その制約の中で、いかに形を成立させ、無理なく折れる構造をつくるか──このゾウは、素材の違いそのものを前提条件として組み立てられた、極めてミニマルな設計の試みです。

革は紙に比べて厚みがあるため、複雑な折りを施そうとすると、どうしても形が成立しなくなってしまいます。そこでこのゾウは、工程数を極力減らし、目や脚といった細部をあえて省いた構成でデザインしました。その代わりに、長い鼻と大きな耳という、ゾウらしさを象徴する要素だけに焦点を当てています。
折り紙の面白さのひとつは、形をどこまで削ぎ落としても、それが「何であるか」をきちんと伝えられるかを試行錯誤することにあります。本質だけを残しながら、どこまでシンプルにできるのか──その探求そのものが、折り紙の楽しさだと感じています。
ギャラリー



象
デザイン・制作:ハマナカ トモアキ
2024年
素材:ケント紙
サイズ:14cm × 7cm × 5cm
制作メモ

Tomoaki HamanakaOrigami designer

